物事には順序があるという事についての考察

物事には順序があるという事について、今日は特別にお話させて頂きます。私の友人に、元銀行強盗犯で懲役を食らった早川という男がいます。彼が出所してきた時、私は刑務所の玄関まで迎えに行きました。「お勤めご苦労さん」と、声を掛けてやりたかったのです。彼は私の顔を見て、少し照れくさそうにこう言いました。「娑婆は涼しいね」8月の30日、夏休みの宿題を全くやっていない小学生の鼻垂れ坊主が、お母さんに叱られて、泣きながら算数のドリルの問題を解いている頃で、ついでに言うと、(注1)デタラメな作り話の絵日記もひと月分まとめて殴り書きしていた夏の終わりの日でした。

彼が何故?長い間、刑務所暮らしでタダ飯を喰らうハメになったのか?その原因は、彼が物事の順序を間違えたからだと、私は今でもそう考えています。では、彼が最初に取るべき行動とは何だったのか?分かりやすく銀行強盗を例にとって、解説していきましょう。

あなたにとって銀行強盗とは?

質問の意味がよくわかりませんか?

では、別の角度からお聞きします。

何故?銀行強盗は無くならないのでしょう?

それは、有名人になれるからでは?テレビや新聞が取材に来るでしょ?7時のNHKのニュースでは確実に顔写真と氏名、年齢、職業は無職っていう具合にテレビに出るわけで・・・

なるほど。私も今そのことを考えていましたが、正解ではありません。では、私の口から正解を申し上げましょう。

銀行強盗とは、”何が何でも成功させなければならない一大事業”であり、人生の集大成なのです。逆な言い方をすれば、成功するまで、幾度となくブタ箱に放り込まれようとも、”やり続けるぞ”という信念が必要なのです。願望を叶えるとは、思い願うというよりは、行動した通りになると、考えておいたほうがいいでしょう。私が銀行強盗を通して、皆さんに伝えたかったのはこの事です。では、本題に戻って、物事には順序があるということについて、私の考えを述べさせて頂きます。

先ず、銀行強盗を計画的に進めるためには、銀行の営業時間の確認を怠ってはいけない。それは何故かと言うと、銀行強盗を実行するにあたって、突入の絶妙なタイミングの時間設定がとても重要だからです。何時ものように、冴えない窓口業務の女性行員が、ジャスト3時に玄関のシャッターを下ろす時間帯のことです。実行犯のリーダー的な役割の男が、実行開始の合図を他のメンバー出にします。

「皆のもの!かかれ!」一気に桶狭間の今川義元の首めがけて、突撃するシーンを思い浮かべながら。

人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり 一度生を享け、滅せぬもののあるべきか・・

銀行強盗犯のメンバーは、敦盛の一節を謡い舞ながら、燃え盛る炎の本能寺に消えていったのです。

次に大事な事は、銀行強盗犯の決め台詞です。決め台詞って?よーく考えてみてください。そうです!”金を出せ”!です。滑舌の悪い人だと、相手に伝わり難いので、ハッキリと大きな声で話すことが、ここではとても重要です。相手の行員が、『はっ、なんとおっしゃいましたか?』等と聞き返されたりしたら、銀行強盗犯、銀行員、人質の皆々様方が揃って、しらけてしまうことになりかねないからです。そういう意味では、銀行強盗の計画が立てられたら、先ず、”金を出せ”を迫力のある声で言えるよう入念に発声練習をしておく必要があることを押えておいて下さい。

その後、(注2)銀行強盗にありがちな会話のやり取りが交わされた後、驚いた女性行員は、直属の上司の方を向いて、大変です!すると、その上司はびっくりした表情で、奥の支店長室へ急いで駆け込んだ後、支店長が「いらっしゃいませ。私が只今ご紹介に預かりました、支店長の三波春夫でございまーす」と、ふざけて登場し、銀行強盗犯にこう言います。ここには現金は有りません等と、白々しい嘘をついて、♫コンニチハ♫コンニチハ♫握手をしよう♫等と歌いながら、警察が駆けつけてくるまでの間、よくある時間稼ぎの作戦を仕掛けてくるケースも想定しておかなくてはならないということです。

次に重要なのは盗んだお金を入れるバッグ選びです。当然ですが、スーパーのレジ袋は小泉純一郎氏の御子息様が大臣であそばされていた折に有料化となり、一般市民の経済感覚では、もったいないお化けが毎晩夢に出てくるほどの衝撃でしたし、だからといって、エルメスのバーキンは、高額だけでなく容量不足。それでは、安物のバッグに大金が入っているというのもバランスが悪い。ルイ・ヴィトンの旅行バッグがベストですが、少し値が張るので、私が推奨しているのは、ヴィトンの”パチモン”です。流石だと思いませんか?そこまで深く考えてこその銀行強盗犯なのです。

あなたも一流を目指しているのならの話ですが・・

次に逃走用の車種ですが、今日は時間の関係で割愛させていただきます。

要するに銀行強盗も昔と違って、年々、難易度が上がっているということを、頭に叩き込んでおかないと、あなた自身が銀行員に騙されることだって、大いに有り得るということです。半沢直樹のような派手なドラマは終わった現在では、銀行員も出向先の工場でスーツから作業着に着替えて、工具を毎朝、ピカピカに磨くことでしか、生き甲斐を見いだすことが出来ず、必死な思いで定年退職まで銀行に残るか、出向先で骨を埋めるか、悩み続けているのです。

だから敢えて今日は、銀行強盗についてのお話をさせて頂いた次第であります。

最後に、あなたは銀行強盗をやる勇気はありますか?YESと答えたあなた、出所日をご連絡頂ければ、刑務所の玄関までお迎えに参ります。

物事には順序があるという事についての考察は次回にお話させて頂きます。

ご静聴有難う御座いました。

(注1)デタラメな作り話の絵日記:例えば、海にも行ってないのに、海でクルーザーに乗りました的な!絵日記で、担任の先生が二学期の始業式の翌日、その鼻垂れ坊主に「お前!この絵日記、一夜漬けで描いただろう!」等と言われる、バレバレの絵日記のこと。

(注2)銀行強盗にありがちな会話のやり取り:「金を出せ」の後のよくある台詞。(例)「いいから早くしろ!静かにするんだ!動くんじゃない!」等の一連の台詞。

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